『ヒミズ』 善と悪との地平線を鬱屈した青春が巡回する。


原作の漫画と映画は全然違うが、(結末が逆だし)
流れているものは同じ気がする。

「たとえ悪の中にあっても生きるその価値」かな。

ドストエフスキーの『罪と罰』が主題にしている
≪神と悪≫の対立概念。

「なぜ悪が存在するのか」
「なぜその悪を神は許すのか」
そして
「なぜそんな悪にまみれたこの世界を生きなければならないのか」

この問いの答えをドストエフスキーは導いていない。
その後に『悪霊』を書かなければいけなかったから。
『カラマーゾフの兄弟』で提示する救済も暗いので、
おそらく分からずじまいで人生を終えたと思う。

『ヒミズ』の主人公は絶えず頭の中の“雑音”に悩まされていた。

「何で?」という蠅のたかりに。

蠅は腐ったものに群がる。
脳みそを新鮮に保つには神という光を降り注がねばならないのに、
主人公には遅すぎた。
あんな両親だからな。

子供への光は両親が与えるしかないものなのだ、と思う。

マンガでいいから読め!!